収納力アップ作戦・6

 これまで家の中に色々なものを作りつけてきた筆者だが、木工をたしなむ内にどうしても欲しい電動工具がでてきた。
 買ってからツイッターで盛大に浮かれ様を披露していたのでご存知の方もあろうが、それは「丸のこ」である。
 こいつがあれば木材を簡単にカットできるだけでなく、切り口の綺麗さや断面の直角度といった精度といったところが格段にUPすること請け合いなのだ。
 ただ、それなりに値段が張るのと、使い方を誤ると危険であることが筆者の決断を鈍らせていた。
 ・・・ぶっちゃけ優柔不断はデフォルト、障害は主に金銭面なのだが。

 そんな筆者が2016年のブルベ挑戦を無事に終え、ついに念願だった丸のこの購入に際して選んだ相棒がコチラ。
 マキタさんちのM565である。
 選択のポイントは、ざっくり以下の三項目。

1・材料、ガイドの滑りが良いアルミベース
2・5500rpm, 1050W の高回転・高出力
3・筆者はマキタ・リョービが好き


 カーマとデーツー(D2)のOEM品はアルミベースを採用していて半値とはいかないまでもかなりの低価格だったのだけれど、一度使い始めると極めて物保ちの良い筆者のこと、少し奮発してもほんとに欲しい方を買っておこうと思った次第。


 すっかり前置きが長くなってしまったけれど、では記念すべき次のDIYは何を作ったものか…。
 かねてからやりたい事は色々とあれど、その中で筆者が選んだのは脱衣室の棚だった。


設計検討

改善前  まずは今回の現場をご紹介しよう。
 現状の様子はこの通りで、既製品のタオルワゴンを使っているのだが幾つかの不満がある。

 一つには、なんと言っても収納力の不足。
 タオルの所有量と使用量は家族が増え、成長していくに連れて順調に伸びている。
 だが当然のこと、このワゴンの収納力がそれに沿って増してくれる訳はない。
 二つ目はワゴンの幅。
 これでも細身と言うに十分な製品で、強度と安定性に乏しい現状を超えてスリムさを求めるのは無理というもの。
 しかし前述の項とも少しかぶるのだけれど、洗面台の前に複数人が並ぶとこのワゴンですら場所を食っている感が否めない。
 この二点の不満を解消するべく、ペンを片手に構想を練った。

 どこに収納をあつらえる場合でも初手は同じで、納める物の大きさを把握することから事は始まる。
 バスタオルの大きさは柱によってできた壁際の段差の幅になんとか納まりそう。
 しかし寸法的にギリギリなので、この幅方向(棚としては奥行きか?)を制限するような板や角材の配置はご法度だ。
 となれば構造体は棚の両脇に。
 そしてその間に棚板を渡す…というのが正しい選択であろう。
 あとはいかに安価な材料、少ない使用量で要求仕様を満たすかが知恵の見せ所である。
 ひとしきり思案した結果、棚の構造は両側面にハシゴ状のフレーム、その間に橋渡しする形で棚板を設ける…というものにした。
 さらに壁の中の渡し木の位置や、すでにある作り付けの設備との関係を鑑みて各部の寸法を決める。
 構造が決まったら材料から部品をどう切り出すかを検討して、いざ製作である。


部品切り出し〜組み立て

 いつもなら一点づつノコギリでギコギコやって、切断面の直角を確認して大体はヤスリで修正という運びだ。
 だが、丸のこを使用して全てが一変した。
 ツイッターでの呟き通り、気分的には彫刻刀で版画してたレベルがちょっとした製材所にクラスアップしたくらいのショック。
 ガイド定規を買っていなかったのできちんと切れないこともあったが、そのやり直しを含めても圧倒的なスピードで部品の切り出しが完了した。
 強力な電動工具に緊張はしたものの、あまりにスピーディーに事が済んでしまって印象が薄いほどだ。

ダイニングで作業中  切り出しを終えたら、材料の粗い面にざっと紙ヤスリをかけて組み立てに入る。
 作業を開始してからこんなに早く組み立てに移れることは本当にありがたい。
 胸に丸のこへの感謝を、利き手に木工用ボンドを持って、まずは部材の位置と直角を出しながら接着固定していく。

 家族が寝てから夜中に作業する事が多い筆者は、もっぱら誰もいないリビングで右の写真のようにダイニングテーブルを定盤にして心出しをしている。

 筆者はこれまでサシガネを使ってきっちりと直角を出す事を第一としてきた。
 しかし、過去のDIYで「家の壁面も直角に見えてそれなりに誤差がある」事を学んだ。
 だから壁やそのコーナー部に取り付けるものは、密着させたいものに沿わせて組み立てを行う。
 今回のように吊り下げるタイプでは重力に逆らって部材を支え続けるのは辛いので、車の車載ジャッキの助けを借りた。
 設置場所の都合に左右される部分の接着ができたら、残りの部材を今度は直角平行基準で組み立てる。
 今回は一番目に付く正面へ現れるコースレッドの頭をザグリで沈めて、ダボで隠す細工を行った。
 こんな小さな事に手間をかけても…と思ってこれまではやらなかったのだけれど、今出来上がった物を見ると「やって良かった」と思う。
 こういう細部が全体の印象に与える影響は意外と馬鹿にならないようだ。

 このあとはフレームから順次塗装に入る。
 今回のブツは水気のある場所に設置するので、保護塗料はきっちり二度・三度塗りする予定。
 下塗りの後で320番のペーパーで軽く表面をならして上塗りを行った。
 その合間に棚板の一部切り欠きやヒビのパテ埋め、サンドペーパーがけなどを終わらせておいて、引き続き塗装。
 今回の棚製作で一番手間がかかったのは多分この塗装だったと思う。
 しかしここで手を抜いて早期に木が腐食したりするんじゃ「何をやってんだ」てなものなのでひたすら刷毛でペタペタ。
 これ、ローラーとか使ったらもっと楽に塗れるのだろうか。
 そんなに高くない印象だったんで、次の機会には買ってみようかと思う。

二度塗り後


設置〜完成

灼熱の脱衣所  塗装が終われば、いよいよ最終工程の据え付けだ。
 再びジャッキを引っ張り出してきて、手にはドリルドライバーを構える。
 壁に沿わせて組んだとは言え、材料の捻れもあってフレームはすんなりと壁面に寄り添ってはくれない。
 そこにどういった順番でコースレッド打ちすればより良い密着が得られるのかをしばらく検討する。
 手順を決めたらあとはとにかくがっちり押さえつけてコースレッドをねじ込んでいく。

 これが結構な力仕事で、狭い脱衣室はもうあっという間に灼熱地獄。
 たまらず扇風機を持ち込んで、なんとか耐えられる環境にすることができた。

 両側面のフレームを設置したら、次は棚板を固定がてら壁に接していない側のフレームの取り付け姿勢を矯正していく。
 クランプ、接着剤、コースレッドを適宜使いながら、合間にはネジ頭を隠すパテへの塗装などをして時間の節約を図る。

 最後にタオル掛けを取り付けてなんとか作業を完了したのがもう未明の4時だった。
 終わったと思ったとたんに疲れがどっときて、完成した棚を見て悦に浸るのもそこそこにベッドへ倒れ込んだ。
 後日、洗面台の脇にも小振りな棚を作り付けて脱衣室への収納力アップ工事が完了した。

 改善の前後を見比べていただくと、明らかに収納力が向上しているのがお分かりいただけると思う。
 依然と同じ量の物を収納してもまだまだ余裕。
 それでいて洗面台前のスペースはこれまでよりも広くなっているのだから、もう非の打ちどころが無い・・・というと言い過ぎだろうか。
 自分としては少しデザインというか周囲の空間とのバランスが、といった見た目の印象がイケてない気がしている。
 こればっかりはインテリアの事例集なんかを見て目を肥やしていくしかないのだが、その手の本は中々に高く、ネットの画像検索では少し物足りず・・・。
 なんとも悩みの種は尽きない。

完成 改善前



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