某ダムにて

回顧録〜永遠の初心者ライダーのエッセイ

 小さな頃から体育が何より苦手で、趣味は読書と映画鑑賞
 そんな超インドア派OLが、何を思ったか23歳でバイク免許を取得しました
 こちらでは、幾多の立ちゴケを経験しながらも 50ccスクーター、CB125T、
CBR250RR、ディグリー(250ccオフロード)、そしてスズキ・SV1000Sへとステップアップした管理人の、苦労と栄光の軌跡をご紹介しています

バロンと私

 猫の男爵に連れられて、空の上をお散歩するメルヘンな体験談…ではなく、今回は赤い男爵の話をしようと思います。

 私が初めて自分でバイクを購入したのは、小型免許を取得した1999年の冬のことでした。
 当時は4stバイクにオイル交換が必要だと言うことも知らなければ、二気筒と2stの違いも分からない(”TLって2stのバイクだよね〜?”と相方に尋ね、場の空気を凍らせた前科アリ。2st1000cc…そりゃモンスターバイクだわ〜)くらい何も知らなかったので、どのバイクを買うべきか判断がつかなくてとても困っていました。

 とりあえず、「125cc以下のバイクで中古車」という条件で探してみよう!とアタリをつけ、近所のバイク屋さんへと出向きました。
 ちなみにどうして中古車狙いだったかといえば、こけても惜しくないようにという配慮でした。
 が、新車だろうが中古車だろうがこければ悲しいし、修理にかかるのお金は一緒、という事実を知るのは、もっと後になってから(要するに自分が実際にこけてから)でした。
 バイクショップの探し方などは全然知りませんでしたが、運良く、自宅から歩いて15分くらいの近所にバイク屋さんがあったのです。
 それが、かの有名な”赤男爵”でした(注:中古バイク販売では、多分業界最大手の有名なバイクショップチェーン店です)。

 初心者の頃に一人で乗り込むバイクショップというのは、言いようも無く不安だったことを記憶しています。
 「何ccのバイクをお探しですか?ナナハンですか?(←当時は”スゴイ大きいバイク=ナナハン”だと思っていたのです)」って言われたらどうしよう、とか。
 「引き起こしができない人にはバイクは売りません」って言われたら、店頭で引き起こしの実演をやんなきゃいけないのか?とか。
 真面目に悩んだものです。

 いろいろ不安に思いながら赤男爵の門をくぐりましたが、待ち受けていたのは、景色が霞むほどのタバコの煙と、ちょっとハンサムで優しい店員さんの笑顔でした。
 ”タバコ”→”好き”(当時私はライトスモーカーでした)、”ハンサム”→”もっと好き”だった純情な私は、これでかなりリラックスできまた。
 そしてすっかり気が大きくなり、”何をお探しですか?”という店員さんのキャッチにまんまと捕まってしまったのです。

 ちょっとアワアワしながら、「125ccのバイクで、中古車を探しているんですけど、ありますか?」と、一生懸命練習してきた台詞を一気に言うと、”では、こちらへ…”といって、相談用のスペースに連行されました。

 そこで、いろいろとカタログを見せてもらったのですが、正直言ってよく分からない。

 同じバイクでも値段が違うし(年式や走行距離のなんたるかも知らなかった)
 ”用途は?オンロードですか、オフロードですか?”なんて言われても、「乗って走れればいいです」としか答えられない。
 ましてや”メーカーの希望はありますか?”なんて難しいをこと聞かれても、とてもとても困る!

 でも、知らないってことを曝け出すのはお姉ちゃんライダーの見得が許さなかったので(多分バレバレ)、とにかく、「今、教習所で乗っているバイクがHONDAのCB125Tなんですけど、それ、ありますか?」と勇気を出して聞いてみました。

 店員さんは、満面の笑みで”えぇ。ちょうどこの間入荷したばかりの、すごくいいタマがあるんですよ”といって、私を2階に連れて行ってくれました。
 そこで出会ったのが、モスグリーンのHONDA・CB125Tです。

 「走行距離もたったの3000km弱で…」「傷も少なくて…」「今ならローンもお得で…」「状態は最高で…」「多分、すぐに売れちゃうと思うんで、買うなら早いほうが…」

 そういった店員さんの売り込みも見事でしたし、教習車両とは全然違うそのカラーリングにコロっと参ってしまっていた単純な私は、すぐに”ヤバイ!欲しい!!”とその気になっていました。

 多分、この時点で、店員さんの思うツボ度合い100%

 でも、値段が、予算を超えていました。軽くダブルスコアで。
 「あの…この間雑誌でこのバイクの値段をみたら、**円くらいだったんですけど…」
と恐る恐る聞いてみると
 「あぁ、それはきっと年式が古いか、走行距離が伸びているんですよ。うちはアフターサービスも充実していますし、これだけ状態の良いものはちょっと無いですからね〜」
と自信たっぷりに言われてしまったので、”そうか。そういうもんか…”と悲しく納得してしまい、結局その日はハンコを押せずに帰宅しました。

 そして一週間後。

 あの値段の買い物を、行ったその日に買っちゃおうなんて、いくらなんでも急ぎすぎたよね。
 もう一回じっくり店員さんと話をしてから考えよう〜♪
 と思って、バイク屋さんに遊びに行くと、なんと!
 たった1週間で、そのバイクが店頭から消えていました。

 あわてて店員さんにたずねてみると、「だから言ったでしょう〜、あれ、いいタマでしたからねぇ〜売れちゃいました〜」とスマイルで言われたのです。

 そうかぁ〜無くなったんだ・・・と、見事なくらいショボくれて、泣きそうになって店を出ようとしたその時

 「あ!そうだ!同じ色で、同じくらい程度のいいバイクが静岡にありますよ。いかがです、お取り寄せしましょうか?」

と店員さんがいいました。

 「え!あるんですか!!」

 「えぇ。前回のよりちょっとお値段は高くなってしまいますけど、状態はいいですよ」

 「買います!!」
 私は思いました・・・これは運命なのだ、と。私の運命の赤い糸は、CBにつながっていたのだ!と。

 そして、来店2回目にしてハンコをペタン。
 多分、この時点で店員さんの思うツボ度合い1000%
 今の私になら分かります。私が運命だと思っていたあの糸は、実は店員さんのマリオネットの糸だったということが。

 結局、最初の見積もりより5万円以上高くなったのですが、とても幸せな気持ちでハンコをつきました。
 そして、まだ雪が残る季節に堂々の納車となりました。
 つまり、決算期より全然前ということです。値引きゼロの男らしい買い物。

 その後、近所をさんざん走り回りましたが、地元で売れたはずのCB125T(私が買い損ねたやつ)にはとうとう出会えず終いでした。
 時々、ふと考えることがあるのです。
「年式は同じ」
「走行距離もほとんど同じ」
「状態も同じ」
「色も同じ」

 「おい、ちょっとそのCB、倉庫中に隠しておけ!いや、1週間くらいでいいよ、あの顔はまたすぐ来るからさ」ヨッコイショ
 「ほらやっぱり来た!…いやぁ、アレ売れちゃいましたよアハハハ、静岡(という名前の倉庫)からすぐ取り寄せしますよ」

 いたいけなOLがコロリとひっかかりそうな商法です・・・まぁ、ありえないですけどね。
 赤男爵さんは、とても良心的なお店ですので。

 いろいろと謎を感じないではありませんが、とりあえず、私は「幸せ」を購入したのです。

 ありがとう赤男爵!

 後日談:
 雪が残る季節に納車したので、雪が解けてから初ツーリングを…
 するつもりだったのですが、まったく我慢できませんでした。
 えーっと、由緒正しい「乗り始めのバイクバカ病」に罹ってしまったのです。
 結局、納車直後に雪山へソロツーリングを強行し、当然のごとく立ち往生。
 初ツーリングにしてロードサービスのお世話になりました。
 迎えに来たお兄さんの顔がメッチャ怒ってて、怖かったです。
 しかも、私が電話で説明した道順がデタラメだったらしく、「お客さんが教えてくれた道、間違ってましたよ。なんで雪の中を走ったりしたんですか?」とド叱られしました
 でも、おかげでバイクも私も無傷で帰れました。
 赤男爵は良いお店ですッ

ページトップへ↑