某ダムにて

回顧録〜永遠の初心者ライダーのエッセイ

 小さな頃から体育が何より苦手で、趣味は読書と映画鑑賞
 そんな超インドア派OLが、何を思ったか23歳でバイク免許を取得しました
 こちらでは、幾多の立ちゴケを経験しながらも 50ccスクーター、CB125T、
CBR250RR、ディグリー(250ccオフロード)、そしてスズキ・SV1000Sへとステップアップした管理人の、苦労と栄光の軌跡をご紹介しています

コードネーム・マグロン

 マグロン…一見この愛らしい響きをもつこの単語は、実は私の最大の泣き所を示している。
 我が家の語録によれば「マグロン」とは、「バイク乗車の際、停車時に足を着こうとして失敗し、そのままバイク諸共倒れてしまうこと」となっている。
 ちなみに、ほとんど休憩をとらないハイペースなロングツーリングを”マグロツーリング”ともいう(マグロは泳ぐことをやめると死んでしまう、というウワサに由来している)が、それはまた別のお話・・・

   「”マグロ”じゃ味気ないわ!これからは可愛らしく”マグロン”よ!」
 という超法規的脳内設定により、現在我が家では”マグロン”というコードネームが使用されている。

 が、実は…”マグロン”なぞ、まったく可愛らしくなんて無い!当たり前だけど!!

 一目惚れという衝撃的な出会いを経て、SV1000SというVツインスポーツを購入した私ではあるが、美しくも短い足に阻まれ、常に立ちゴケの恐怖と向かい合う日々が続いている。

 なんてったって、納車の当日にバイクショップの店先で初マグロンを体験した。
 元来気が小さくてプライドだけは立派な小市民の私にとって、これはじつにじつーに堪えた。
 カウルに、マフラーに、ステップについた(大地との)キス痕!

 その後1ヶ月くらいは、毎晩立ちゴケする夢をみて夜中に飛び起きた。
 悔しいのもあるが、とにかく怖かった。
 どうしようもなく体が震え、我慢できないのどの渇きを覚えて飛び起きるのだ。それが毎晩!
 起きている間も、バイクに乗ることを考えるだけで胃の中に鉛でも飲み込んだような気分になる。
 自分は、バイクに向いてないのかもしれない…
 本当に好きだったら、こんな風に怖くなるなんておかしい?
 などと悩みながら、でも毎週バイクに乗っていた。
 「大枚をはたいたからには、たとえ死んでもバイクに乗る。乗りこなしてみせる!」という意地が、私を支えてくれたのだ。

 高校生の娘に月額500円のお小遣いしか持たせなかった我が親の貧乏教育は、こんなところで立派に生きた。
 素晴らしい。私も、子供には貧乏をさせよう。
 相方@TL1000Rの努力も、また素晴らしかった。
 100円のジュースがもったいなくて買えない相方(あぁやっぱり夫婦)が、なんと、お小遣いをはたいて、SV用のあんこ抜きシートを購入してくれたのだ。
 結婚指輪でさえ買うのを嫌がったというのに…なんという夫婦愛。
 バイクに関して(だけ)は1000%協力的な夫である。

 いまだに足を着くときは、怖くてビビリまくりだけれど。
 それでも最近、昔はアッという間にコーナーのかなたに消えていた相方のテールランプを、なんとか数秒間視界の隅で光らせることができるようになった。
 そういうときは、しみじみと思うのだ。
 あぁ、やっぱりビックバイクは楽しい。



 追記:あのムカツク黄色のTL、いつか絶対ぶち抜きます。



 追記の追記:このテキストをUPした当時は長男を出産する前であり、私がもっとも速かった頃(年間10000km走ってた!)でした。
 二人の子供を出産して年間2000kmすら走れなくなった現在では、「ムカつくTLをぶち抜く」ことより、「たまには一緒に走りたいなぁ」と思うようになりました。
 これって「愛」なのでしょうか・・・それとも「老い」なのでしょうか?
 年月って恐ろしいですね。

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